エイプリルフールなので(?)、PHPの日付処理の細かい挙動がひっそり変わった話の解説をします。
ちなみに本稿はSlackグループ「PHPユーザーズ」の#randomチャンネルでの議論をまとめ直したものです。議論のきっかけを下さったmsngさん、tadsanさん、do_akiさんはじめとする皆様ありがとうございました。
PHP 7.0から日付のフォーマット文字列にミリ秒を意味する「v」が追加された
PHP 7.0.0から、DateTime::format()
でミリ秒指定ができるようになっています。
v
ミリ秒 (PHP 7.0.0 で追加) Same note applies as for u. 例: 654
date関数と違ってDateTimeオブジェクトはマイクロ秒の処理を行うので、これをミリ秒単位に丸めるような場合にv
が有用というわけです。たとえば次のように利用できます。
<?php var_dump((new \DateTime('2018-04-01 00:11:22.123456')) ->format('v')); // string(3) "123"
PHP 7.2から「v」の挙動が変わった
ところで、このv
の挙動がPHP 7.1と7.2とで変わりました。7.1までは1ミリ秒以下を四捨五入していたのが、7.2からは切り捨てになっています。
<?php var_dump((new \DateTime('2018-04-01 00:11:22.345678')) ->format('v')); // PHP 7.1.x: "346" / PHP 7.2.x: "345"
仕様変更が必要だった理由
仕様変更の理由を想像すると、単純に四捨五入すると困る状況があるから、ということだと思います。たとえば次のように現在時刻をミリ秒まで表示するプログラムを考えてみます。
<?php var_dump((new \DateTime())->format('Y-m-d H:i:s.v'));
DateTimeのコンストラクタは無引数の場合現在時刻を返します。たとえば次のような値を返しているのであれば、四捨五入でも切り捨てでも全く問題はありません。
string(23) "2018-04-01 00:11:22.346"
しかし、現在時刻の秒未満が仮に999.9ミリ秒だった場合、四捨五入すると次のような結果になってしまいます。
string(24) "2018-04-01 00:11:22.1000"
この文字列全体を日付関数でparseするような場合、これでは23秒ではなく22.1秒として解釈されてしまうでしょう。つまり、v
で四捨五入するのは仕様として良くないということになります。切り捨てであればこのような問題は起こらず、丸め後の値は必ず3桁になります。
一般に、何かの数を丸める場合に良かれと思って四捨五入にしてしまうことがある気がします。ところが、今回は四捨五入では問題になるという面白い事例でした。