(2021/06/23追記: この記事を書いてしばらくして引っ越しました。原状復帰済みです。念のため。)
私は同じ賃貸住宅に10年ほど済んでいるのですが、ごく最近になって自宅内に備え付けのL2スイッチが存在することに気づきました。ソイツはなんとユニットバスの天井裏にいたのです。
このスイッチをGbEスイッチにリプレースしたところ、自宅のコンピューティング環境を改善することができました。本稿ではその顛末を紹介します。皆様のお風呂場探検の参考になれば幸いです。
謎の情報コンセント
読者の皆さんは情報コンセントというものをご存じでしょうか。下の写真のようにイーサネットケーブルを差すコンセントのことを言うそうです。
これがない家もあると思いますが、私が今住んでいるマンションには情報コンセントが部屋ごとについています。
この説明は入居時に一切受けていないのですが、試しにイーサネットケーブルをつないでみると部屋間が100Mbpsでつながることがわかりました。
いまどき100Mbpsというのもひどい話ですが、賃貸の設備にケチを付けても仕方がありません。きっと大家がケチって4芯のクロスケーブルが壁に埋まってるんだろう、と思っていました。
しかし、我が家の情報コンセントは全部で3口あります。冷静に考えれば3口がクロスケーブルで接続されるはずはないのですが、当時の私は部屋の間にイーサネットケーブルを通す手間が省けた喜びで思考停止していました。
見知らぬL2スイッチ
そんなこんなで謎の情報コンセントを9年ほど使い続けていました。情報コンセントの両側にはGbEスイッチを置いていたので両者の接続が100Mbpsなのは不満でしたが、壁に埋まっている設備の問題であって自分で何とかできるとは夢にも思っていませんでした。
そんなある日、ネットサーフしていると「お風呂場の天井裏をサーバールームにしてみよう」というブログ記事を見つけました。集合住宅ではユニットバス上部の空きスペースを各種配線スペースとして利用することがあり、イーサネットケーブルが出ていることも多いようです。
これは我が家も同じ状況なのでは?と考えてユニットバスの天井を開けてみると、案の定バッファローの100Mbpsスイッチがピカピカ光っていました。スイッチには4本のCAT5eケーブルが接続されており、3本は各部屋の情報コンセントにつながっていました。残りの一本はマンションのMDF室につながっているようですが現状では使っていないようです。
情報コンセント間が100Mbpsで接続されている謎が解けた瞬間でした。
湿度を測定する
ユニットバスの天井裏は一定の広さがありますから、先の記事で紹介されているようにサーバルームとして使うのは面白いアイデアです。とはいえ、L2スイッチが湿気でダメになったりしないのでしょうか。
多くの人は問題ないと結論づけているようですが、自分でも確認してみることにしました。Raspberry Pi Zeroを用意し、温湿度センサーを付けた上でユニットバス天井裏に設置してMackerelでグラフ化した結果が以下になります。
センサーは2つ用意したのですが、オレンジ色のグラフの方が実際の値に近いようです1。
この結果によれば、ユニットバス天井裏は入浴時に湿度が上がるものの、冬場で+5%、夏場で+2%程度の上昇幅でした。入浴時はユニット内の温度上昇の影響で天井裏も温められるため、飽和水蒸気量が押し上げられて結果的に湿度の上昇が抑えられているようです。また、夏場の方が高温なので飽和水蒸気量が元々大きく、浴室利用の影響が相対的に小さくなるということも言えそうです。
結論としては入浴によるユニットバス天井裏への影響は限定的で、どうやら結露するようなことはなさそうです。
スイッチの置き換え
湿度の心配もなさそうなので、ユニットバス天井裏を活用していきましょう。
部屋間の接続速度が遅い原因はバッファローの100Mbpsスイッチでした。そこで、このスイッチをGbEスイッチに置き換えたところ、部屋間の接続が1Gbpsになりました。賃貸住宅だから仕方ないと思っていた点が改善できたのは嬉しいですね。
リプレースしたスイッチはVLANに対応しているので、機能面でもパワーアップしたことになります。
マシンの設置と所感
参考にしたブログ記事ではユニットバス天井裏にサーバ類を置いています。なかなか面白いアイデアですので私も同じことをしてみました。
ユニットバス天井裏は非常にほこりっぽい空間なので、まずは念入りに掃除をしました。また、各種機械類を直接ユニットバスの天井裏に置くのは気が引けたので、100均で買ってきたミニすのこを敷くことにしました。
この空間にリモートデスクトップ専用機になっていたThinkpadを置いてみたところ、不自由なく使えることがわかりました。このマシンは稼働時にファンがうるさいのが気になっていたのですが、音が聞こえない場所に置けるようになったのは良い点と言えそうです。
一方で、ここに大きい機器・重い機器を置くのはオススメしません。天井裏へのアクセスは不便なので、あまりに重いものを置くと設置の際に腰をやったりするかもしれませんし2、大きいものだと天井裏へ通すときに事故るかもしれません。湿度その他の理由で壊れる可能性もゼロではありませんから、高額な機器や大電力を消費する機器も置かない方が良いでしょう。
また、事故があったときに気づきにくい場所なので、温度・湿度のモニタリングは必須と言えるでしょう。こうした監視にRaspberry Pi Zeroはかなり良い選択肢です。私の場合うまく使えそうなHATとブレイクアウトボードがあったので雑に天井裏に投げ込むことができました。また、Mackerelにはしきい値を超えるとSlackに警告を飛ばす設定があるので、これも設定してみました。
まとめ
筆者の自宅のユニットバス天井裏に備え付けのL2スイッチが動いていたこと、これを置き換えたところ家のネットワークが増速したという事例を紹介しました。他のお宅でも同じような状況かもしれませんので、一度ユニットバス天井裏を探検してみてはいかがでしょうか。
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青いグラフに対応するセンサーはRaspberry Pi ZeroのCPUとの距離が近く、気温の測定値が周辺気温より高めに、湿度が低めに出ていました↩
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天井の強度にも不安があります↩